鬼の話し02

日本の鬼と西洋の悪魔

日本では鬼に馴染みが深いですが、西洋では悪魔が出ます。

反対に言えば、西洋では悪魔に憑かれることはあるけれど、日本では悪魔に憑かれることがないと言えます。その代わり、日本人は鬼に憑かれることがあります。

これは言葉の問題で、日本では不吉な出来事が起こったときや、凶悪な人物、狂乱に陥っている人物を見たときは、それを指して鬼と呼びました。同様に西洋では悪魔という言葉を使い、事象を理解しようとするのです。

井上円了の研究に従って、鬼という現象を暴こうとするとこのように身も蓋もない話になってしまいますが、多くの鬼や悪魔と関連する現象の中には「真怪」も含まれていることだと思います。

鬼や悪魔というのは、多くは人の心の問題や病気の症状で奇怪な行動をとってしまうケースも多くあるに違いはなく、それぞれの症状を事細かに分析していけば合理的な説明を与えることは出来る。

しかし、どう考えても合理的な説明が付かず、心に問題があるという断定も出来ず、何かに憑かれていると説明することが一番合理的な説明になることもある。

悪魔に憑かれた少女の死を巡り行われた実際の裁判において悪魔の存在を認めたというケースがあるといいます。これは、『エミリー・ローズ』という映画にもなっています。

実際に裁判で悪魔の存在を認めたということになっているのか、そして実際に悪魔という存在はあるのか、日本人の目で見れば、やはり精神の病であり幻覚や妄想の類に見えるでしょう。

信仰に篤い地域だからこそまだ悪魔の存在が廃れないだけであって、無神論者が多い日本では、もう日常で鬼に出くわすという話しはなかなか聞きません。

そう考えると、「鬼」や「悪魔」というのは理解を越えた恐怖に与えられた単なるレッテルであり、一番大ざっぱな処理をされた妖怪なのかもしれません。

だからこそ一番多く観測され、各地域で最も親しまれ、畏れられる存在、不吉なものの代表格として君臨しているのでしょう。