そもそも妖怪とは?03

妖怪の研究をした人々

実は、妖怪とは一体何なのかを考え続けた人はずっと昔からいるのです。

例えば有名なのは、今から150年以上も前に生まれた研究者である井上円了(いのうえ えんりょう)という人物です。

井上円了は妖怪を学問的に捉え、様々な論理的観点、化学的視点から観察し分類するなど、妖怪研究の創始者にして妖怪の正体を暴く試みに尽力しました。

妖怪博士と呼ばれ、人々を妖怪の恐怖から解放した人物として知られ、博覧強記の井上円了だからこそ成し遂げられた幅広い知見から妖怪を観察し体系付けた『妖怪学講義』は非常に有名な本です。

さらにもう一人妖怪研究において有名な人物を挙げるとすれば、柳田国男(やなぎた くにお)を忘れることはできません。

井上円了が、心理学や医学、宗教学など様々な観点から妖怪の正体を暴いたのに対して、柳田国男は妖怪と人との関係を民俗学の見地から研究しました。

ちなみに、柳田国男に言わせれば妖怪と幽霊の区別というのは明確なもののようです。

妖怪はまず出現する場所が決まっていて、人々はそこを避けさえすれば妖怪と行き会うのを避けることができると言います。

一方幽霊は、向こう側からやってきて、一度目を付けられたらどこまでも追ってくることがある。

また出現する時間も両者とも決まっており、妖怪は薄暗い明け方や暮方(くれがた)の時間、いわゆる黄昏(たそがれ)時やかわたれ時であるけれど、幽霊は丑三つ時に出る。

現代の怪談の類に照らし合わせて考えて見ればこの分類が必ずしも正しいとは言えないことが分かりますが、少なくとも柳田国男の考えでは妖怪と幽霊には明確な違いがあると言います。

また、柳田国男は妖怪の発生について、人々の文明の発達に伴い今まで神とあがめ恐れていた時代から、その存在を疑い始め、やがて退治するという時代のプロセスを経て生まれたものだと言います。つまり、妖怪は神様が零落(れいらく)した姿だと言うのです。